「いいご身分で。」と彼がわらった。
無力感と罪悪感と自己満足。
私の中は多分それらで満杯だった。
「安全圏から出来る限りのことを?そんなのお笑い草だ。」
「やらない善より、やる偽善って言うだろ。」
「そうだね。でも偽善者なんて、所詮自分がよく見られたいだけだろう?」
私は昔から自分が何を考えているのかがよく解っていなかった。
誰かに優しくしても、それが本当に心からのことだったのか、
それとも自分がよく見られたかっただけだったのか。
どうだったろう。
(違う。)
否定の言葉は声にならず、
唇からはただ息が漏れるだけだった。
少女はまた泣いていた。