The 4th day

「やっぱり怖いんじゃないか。」



再び何処からともなく現れた彼が、そうわらった。
人を傷つけないものが良いのだと、頭を抱える私を楽しそうに見ている。



「生まれた時点で誰も傷つけないなんて不可能だ。」
「解ってる。」



だから、黙ってくれと言い捨て、私は蹲った。

しかし、彼は黙る気はないようだった。



「結局、自分のためだろう。怖いんだろう。」
君はいつもそうだと視線を落とす彼は、どこか悲しげに見えた。



「まだ、」
「まだ、ひとつだけ残ってる。」
私は辛うじて掠れた声を出した。



「それは正解なの?」
彼はまたいつもの表情に戻っていた。



「解らないけど、今は。」
「ふうん。」


そう一言呟き、彼は消えた。





言葉にすると驚くほど凪いで、そうかと私は独りごちた。
2011/02/26


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