2012/08/06
何度もここから飛び降りる君を見ていた。
その度に僕は君を止めようとして、
でも、声にはならなかった。
どうせ目が覚めれば君は生きていて、
また死にたいとわらうのだろうけど
それでも僕は今日も憂鬱な気持ちで目覚めるのだった。
明日で丁度1000日目だろうか。
今日も明日も明明後日も
きっと変わらず君は死にたがっている。
2012/07/18
獏よ、どうかあの人の夢を食べてくれ。
獏対えて曰く、悪夢じゃないから食べられない、だそうだ。
2012/06/15
恋愛感情は四年間しか持たないそうよと彼女が笑った。
それならば、未だに私の中で燻るこの感情は、
きっと恋でも、愛でもなく、ただの欲望なのだろう。
恋愛は性欲の詩的表現とはよく言ったものだ。
そんな私を横目に彼女はまた、からからと笑った。
2012/05/30
死体が死んだら幸せになるぞとわらった。
僕は死体の意見なんか聞きたくなかった。
正しい人が生きていれば幸せだと笑った。
僕は正しい人の意見なんか聞きたくなかった。
ああ、でも、僕は残念ながらマニュアル人間。
(他の時間軸の僕がどうやってこの世界を生き抜いたか教えてよ!早く、早く!)
2012/05/13
きっと貴方は馬鹿だから、
この絵文字のように電話の向こうの私も笑っていると思うんでしょうね。
そんな平和ボケした馬鹿な貴方が私は多分大好きでした。
(ばいばい、)
2012/05/13
「何の役にも立たない人間の方が生に対する執着が人一倍強いときた!
さあ、君。安全圏で嘆いていないで、さっさと首吊りでもしたらどうだい?」
2012/05/02
「君は潔癖症すぎる。
普通はある程度の年齢になったら、自分の汚い部分に目を向けて生きるものだ。
それから、諦めるか、努力するかは個々人によるにせよ。
ところが君ときたら、自分の汚い部分を綺麗な言葉に直して、それで満足している。
君自身は何も変わっちゃいないのに。とんだお笑い草だ。
……そういえば、君は知ってるかい。
潔癖症の人の部屋はとても汚いらしいよ。
ゴミなんか汚くて絶対に触れない。
そうしてどんどんどんどんゴミの山が増えて、
最後にはゴミ屋敷になってしまうらしい。
君に本当にそっくりだとは思わないか。
ああ、とても面白おかしいね!」
2012/04/23
あいつは気狂いだと囁く奴等の口を、片っ端からキスで塞いでやる。
(奴等はきっと言葉の持つ狂気も言葉のない恐怖も何も知りはしないのだ。)
2012/04/23
夢を見た。
高層ビルから落ちる夢だった。
僕の背中を押した少年はどこか僕に似ている気がした。
首筋に水滴が当たった気がして、振り向こうと思ったがそれは叶わなかった。
僕の身体は静かに空を舞った。
そのままついぞ彼の表情を知ることはなかった。
2012/04/04
いちいち語尾に「死にたい」を付けてくる寄生虫に呪われている。
今の僕は何だか“死にたい”製造機みたいで、少しわらった。
虫下しを飲んでも多分この病は治らないだろう。
だって、そんな寄生虫はこの世に存在しないのだから。
僕の妄想の中の寄生虫は今も脳みその中で蠢いている。
(最後の理性で通り過ぎる電車を見送った。)
2012/04/02
「それは楽しいの?」
いや、あんまりと手首に包帯を巻きながら僕は答えた。
いつからか自分の怪我の処置が上手くなっていた。
一方、内面的な怪我の処置は一向に上手くならなかった。
むしろ退化しているような気さえした。
痛みに愚鈍になることで騙しすかして、
でも、もうそろそろ限界だと思った。
(だって君は屋上から飛んでいってしまったんだ。)
(羽なんか、ないのに。)
あの問いに楽にはなると答えておけば、君は今も隣に居ただろうか。
どうでもいいけど、
またひとつ痛みに鈍くなった日々を繋いだ。
2012/03/02
このまま変わらない日々が続くのかと思うとゾッとするとわらいながら、
彼は屋上のフェンスを飛び越えた。
不満を感じながらもフェンスを越えられない僕は、
相も変わらず日々の中でただ足踏みをしてる。
2012/02/20
私は弱くなんてないから、助けてって言う君を丁寧に踏み躙った。
(もう二度と助けてなんて言わせてやらない。)
そうやって何人の「君」を殺すのと、貴方が泣いた。
2012/01/30
君の声が文字化けを起こした。
僕はヘッドフォンをかけなおして、
そのまま。
2012/01/30
痛いなら死にたくないなあって思ったんだよと君が言った。
痛いから死にたくない君と痛いから死ねない僕は
似ているようできっと大きな隔たりがある。
理由は同じでも。
2012/01/22
“喜怒哀楽”が安く売っていたので買ってきた。
笑ったり怒ったり泣いたり、
やっぱりどうにもしっくりこなくてすぐにゴミ箱に捨てた。
ああ、無駄遣いをしたなとぼんやり思った。
2012/01/22
「手首ならきっとあの子の二の舞で、多分。」
もういらないからって君がはじけとんだ。
手を伸ばしても僕の握力じゃきっと君には届かないだろうと、
泣くことも出来なかった。
ので、真空パックに詰めてもう二度と出てこないように
宇宙の彼方にぶん投げた。
バイバイって笑うのはきっと僕には似合わなかったんだ。
2012/01/11
「明日世界は終わります。」
と、壊れたラジオが喋る音で目が覚めた。
私は横目にそれを見て、また目を閉じた。
死にたくはないが生きたくもない。
そんな私の日常はきっともうすでに終わっていて、
それならばきっと騒ぐべきではないだろうとぼんやり思った。