041 底無し(そこなし)
底なし沼から手だけを出して足掻く君が、
何だか愛おしく思えたので、
戸惑いながらも僕は、
その手を優しく踏み躙ってみたのです。
君の不幸は蜜の味
042 ダーク(だーく)
ダークロイヤルファイヤー!とか、
そんな感じの必殺技を僕も持っていたなら、
この世界を何かちょっと明るい感じに出来たりしたのでしょうか。
臆病者の僕は、今日も屋上で寝転びながら、
そんなありえない妄想をしている。
043 ダイヤモンド(だいやもんど)
私は傷ついたりなんかしないのと、
笑った君は、
たった一言で粉々に割れて、
空の彼方へ飛んでいった。
044 太陽(たいよう)
地球の裏側を通って
太陽は温泉を沸かしているの
それを聞いた太陽はそのことを大層誇りに思いました。
時は経って、地球は丸いが定説で、
温泉を沸かすのは地熱です。
じゃあ僕には何が出来るのと、
宇宙で独り太陽は泣きました。
昔話a
045 知識(ちしき)
詰め込んで詰め込んで
図書館みたいになった僕の頭は、
予想外の事態に対応できないことに嘆いて、
また知識を漁る。
(外に誘う君の声には聞こえない振りをした。)
046 月(つき)
太陽がいなくなった真夜中じゃ
月明かりだけが頼りなの
それを聞いた月はそのことを大層誇りに思いました。
時は経って、
世界は煌びやかな電気で溢れ、
真夜中だって真昼間のように明るく、
じゃあ私には何が出来るのと、
宇宙で独り月は泣きました。
昔話b
047 手遅れ(ておくれ)
まだまだやれるんですお願いです。
ねえ時間だって無限にあるのです。
まだ本気を出していないだけです。
本気を出せば僕だってきっとそう、
もっと素晴らしいあの昔TVで見た
英雄みたいに大活躍できるのです。
だからねえ!
(ああ、まだ気付かないなんてもう手遅れですねと君がわらった。)
048 天使(てんし)
人口調整のために恋の矢印をコントロール。
突発的な恋が起きたならサービス残業でも
駆けつけて後処理をします!
何て夢のない仕事だと僕の隣の天使が嘆いた。
(ついでに僕も嘆いた。)
049 扉(とびら)
KEEP OUTのテープに囲まれた扉の中で
君は独り、何で誰も助けてくれないのと嘆いている。
050 友達(ともだち)
かってうれしいはないちもんめ
まけてくやしいはないちもんめ
あのこやそのこになれない僕は、
今日も空気みたいな日常を、
「友達」と過ごしている。
お題配布元:
【詩を書くあなたに100のお題】