031 紅玉(こうぎょく)
同じように真っ赤だとして、
それでも、泣き腫らした私のこの目にはきっと、
何の価値もないのでしょう。
032 桜(さくら)
地面に落ちる前の花びらを捕まえたなら願いが叶うのだと、
そう言った貴方は、
花びらを捕まえた私を置いて出て行った。
(貴方以外、何も望んでいなかったのに。)
033 時間(じかん)
細切れの私の時間が、
どうやったら上手く生きれるのと呟いた。
私は答えられずに、黙って目を閉じた
夢の中へ
034 嫉妬(しっと)
妬ましい、と
毛布に包まりながら言ってみて、
僕なら、この部屋から出るつもりはない。
それでもきっと僕の方が上手くやれるはずなんだ!
(そんな僕を見て、みんながわらった。)
035 シャボン玉(しゃぼんだま)
ぱちんと弾けて、
逆さまの君、さようなら。
ビー玉みたいに欠片なんて残らないからと、
僕は君をシャボン玉の中に閉じ込めたんだ。
036 白い帽子(しろいぼうし)
零下10℃の真冬日に、
白い帽子を被ってしまった君の頭をそっと撫でる。
さあ、家に帰ったなら、雪うさぎでも作ろうか。
037 スカート(すかーと)
あの子の揺れるスカートに目を奪われても、
その子の香る髪に振り向いても、
隣に居るのは、
多分きっと絶対君じゃなきゃ意味はないのです。
038 誓約(せいやく)
誓って約束しますと誓約のテトリス。
積み重なった「絶対」は全部が全部色違い。
ああもう詰み、ゲームオーバーだよと鏡の中で君がわらう。
僕に残された道は、リセットボタンという名の、
身投げ
039 切断(せつだん)
いつからかこの世界は
濁ったコンタクトレンズの中。
閉じ込められた僕は
思考回路切断、で、また逃げ出した。
変わらない日々に価値があるのだと、
繰り返し唱えて、溺れている。
040 喪失感(そうしつかん)
喪失感すら喪失してしまって、
無駄に上手な人生を
私は今日も息を止めながらいきていく。
お題配布元:
【詩を書くあなたに100のお題】