011 カーテン(かーてん)
カーテンコール、
等閑に僕のお辞儀。
カーテンコール、
御座なりな拍手の音。
カーテンコール、
こんなはずじゃなかった
なんて言わせないと、
君がわらってる。
012 回転(かいてん)
ぐるぐるぐるのコインランドリー。
外は雨できっと洗濯物は乾かない。
中で回るシーツを見ながら途方に暮れた。
きっと君はもう来ないだろう。
013 鏡(かがみ)
僕が笑う、
君がわらう。
僕が泣く、
君がなく。
それが酷く滑稽に思えたので、
僕は息を止める振りをしたのです。
014 鍵(かぎ)
初めは保身のため、
次は恐怖心から、
最後は逃げるように、
こんな立派な錠前は
どんな鍵屋でも開けそうにない
と、苦笑すると
雁字搦めの鎖がジャラリとないた。
015 影(かげ)
君に触れてみたくて
そっと後ろから影を重ねた。
そうして、最後の形をなぞる。
(さよなら。)
016 数える(かぞえる)
1、2、3で飛び越えて、
4、5、6で溺れ始めた。
7、8、9の予測はつくので
10にはいかず、
0で時を止めてください。
017 既視感(きしかん)
微妙に違った世界をなぞる今日の足音。
こうなることはすでに知ってたの
と、君が顔を背けた。
僕は居ても立ってもいられなくて、
ただ現実感のない日々を繋いでいる。
018 記念日(きねんび)
あれもこれも記念だ記念だと
街が煩いので、
ものぐさな僕は、
カレンダーと手帳を諦めた。
毎日続く記念日なんて
全く笑えない話だ。
019 君を待つ(きみをまつ)
指折り数え、
手、足、手、足、で、もう何周?
それすら分からなくなって、
漸く口に出せる、
さよなら。
020 郷愁(きょうしゅう)
背丈が半分のあの頃
世界は無限に思えた。
ああ、でも、きっと
故郷を辿っても
あの頃は様変わりして
僕を置いてけぼりにする。
全部全部、
(もうどこにもいない。)
お題配布元:
【詩を書くあなたに100のお題】