はじまり
ちりは かみさまに
ねがいました。
“ぼくも さくらみたいに
きれいに なりたい。”
ねがいは かなって
ちりは ひとびとに
“ゆき”
と よばれるように
なりました。
だれも ゆきが かれだとは
きがつきませんでしたが、
それで じゅうぶんなのでした。
むかしむかしの おはなし。
かみさま
“さくらみたいに
そらをとばさせてあげよう”
“ただし ふゆの
とてもさむいひだけだ”
“いちねんじゅう
みんなにあえないときもある”
“そして みんなにあえても
すぐに あとかたもなく
きえてしまうよ”
“さきのさき ずっとさきは
そんざいすら きえてしまうかもしれない”
“きみは それでもいいの?”